COLUMNコラム

更新日:2016.11.11

第53回 公認会計士が伝えるクリニック経営の節税ポイント(後編)

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のびしろ会計事務所 朴賢大です。
「開院時での節税・資金対策」をテーマに、今回は固定資産の処理からお話しさせていただきます。
 
●固定資産の処理
開院時には、様々な設備を購入します。また、HPの開設費用や開院広告など、開院特有の支出もあります。これらの費用は長期間にわたり使用されることから、相応の期間で分けて費用化することがルールとなっております。
開院当初は、診療報酬はまだ少なく、そのような費用負担を賄うのは大変です。ですので、設備はできるだけ固定資産として計上し、費用を将来へ延ばすことをお勧めします。10万円以上の購入品は固定資産登録することができます。
医療法人化を検討されるのであればなおさらです。
医療法人は認可制で、設立に際して都道府県に許可申請します。その際、医院の運営状況も審査されますが、資産額が多い方がより有利な形で医療法人に運営を引き継ぐことができます。
また、各年に分けて費用化する方法も、購入当初に費用が偏る定率法ではなく、負担を各年へ均等に配分する定額法をお勧めします。費用負担を先延ばしにする効果と、医療法人化の際の資産額増額に役立ちます。
この点は、サポートされる税理士にお願いされれば良いでしょう。
最後に参考として、クリニックが軌道に乗った際に中心となる節税対策を簡単に紹介します。個人でしばらく続けるのであれば、小規模企業共済、確定拠出年金、専従者との所得配分、ふるさと納税、経営セーフティ共済などをご検討下さい。法人化を目指すのであれば、節税はふるさと納税にとどめておいて、円滑に法人化を進めるために手元資金を増やすことをご検討下さい。
 
m_e_title_126 資金対策
開院時の資金対策と言えば、融資に尽きます。
融資の成否で、開院後の資金繰りは大きく左右されます。
 
1.自己資金
融資にあたり、自己資金がどれ位必要か、質問をよく受けます。自己資金をしっかり用意される先生もいらっしゃいます。自己資金の額は、先生の「お金に対するスタンス」を推し量る情報として大切です。多ければ多いほど、堅実であると評価されますし、信用は上がるでしょう。
一方、その自己資金をいくら医院に投入するかは、融資の可否にあまり影響しないように思います。総額で1億円、ともすれば2億円になることもある開院融資において、自己資金が1百万円か1千万円かは、言ってしまえば些細な違いです。
融資額にもよりますが、自己資金1百万円で開院した例もあります。自己資金は貯蓄の実績として見せ、開院に際しては手元に取っておく、という選択がいいのではないでしょうか。
2.金融機関
大半の金融機関が、本部に開院専門部署を用意しています。条件面の交渉等の便宜を考えますと、開院専門部署のと直接お話する方が手続きはスムーズだと思います。直接開院専門部署に連絡する窓口が見つからない場合は、税理士等の開院をサポートする専門家を使ってアプローチしてみて下さい。また、銀行には民間銀行のほかに、日本政策金融公庫といった政府系銀行があります。
民間銀行は、営利目的に基づき融資を行いますが、政府系銀行は国家の方針等を背景に融資を行う側面があります。そのため、条件面で、民間銀行と違いがある場合があります。
例えば現在、政府は女性の社会進出を推し進めておりますが、日本政策金融公庫では女性の開業の場合、金利面で優遇措置を用意しております。各行の違いを理解して、上手に使われると良いでしょう。
3.固定金利、変動金利
超低金利時代と言われて久しいです。
将来金利が上昇した場合、固定金利であれば利息負担は少なくて済みます。固定金利のメリットです。一方、固定金利にはデメリットもあります。開業融資時には、それぞれのメリット・デメリットを把握して、ご自身にあった金利を選択して下さい。
金利を固定した場合、繰上返済には手数料が発生します。繰上返済額や契約金利にもよりますが、結構な金額になります。一方、変動金利の場合、手数料は発生しません。固定金利のデメリットです。
固定金利で繰上返済手数料無しに返済するには、固定期間終了のタイミングで行うことです。例えば5年固定なら、5年間はお金を貯めておいて、固定期間が終了する5年後にまとめて返済し、また5年固定とします。
早期の医療法人化を目指すのであれば、変動金利をお勧めします。医療法人化にあたって融資を法人へ動かす必要が出てきますが、変動金利であれば繰上返済手数料無しで繰上返済し、医療法人で改めて借入する、といった方法も選択できます。
4.保険
融資をうけた時は、万が一に備えて融資を帳消しにするための保険を用意しておくことをお勧めします。保険は色々とありますが、保証額が借入残高に比例して減っていくような、収入保障型の定期保険(逓減定期保険)をお勧めします。万が一のための保険ですので、借入残高を賄えれば必要十分です。
ただし、融資が実行されたタイミングに合わせて保険に加入することを強くお勧めします。借り入れ後に空白期間を作ってしまうと、その間に何かあった場合、元も子もありません。融資の際に団信加入を勧められるかもしれませんが、団信は必ず加入しなければならないものではありません。民間の収入保障保険と比較して、有利な方に決められればよいと思います。
 

m_e_title_126 まとめ

今回は、開院時に気を付けたいポイントとして、

  • 開院の過程で迷わないよう、開院の目標をある程度はっきりさせておくこと
  • 節税の前準備として、医療法人化の有無、また、固定資産費用を最大限繰り延べること
  • 資金対策として、銀行融資にまつわるポイントや注意点

を紹介しました。
このほかにも、開業立地の選定や採用など、開業にあたって検討すべき大事なポイントがあります。開業に関することでなにか不安に思われることがありましたら、お気軽にご相談下さいませ。
 
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代表:朴 賢大 / Boku Yoshiharu
略歴:福岡県北九州市出身、昭和54年11月生
愛光学園高等学校、東京大学 工学部 電子工学科、九州大学 医療経営・管理学専攻
新日本有限責任監査法人、税理士法人恒輝
資格:公認会計士、税理士、プロフェッショナルCFO,医療経営士3級
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