第73回 医療DXがもたらす、医薬連携のビジョンについて

医薬分業の進捗と課題
医薬分業について
ひと昔前までは、医療機関でドクターが診察から処方・投薬まで行うことが一般的でした。
しかし、医療が高度化しドクターの負担が増えたり、医薬品の在庫管理、患者さんへの複数の医療機関による重複投与の問題があり、近年は医薬分業の体制が整ってきました。日本薬剤師会によると、2024年度の医薬分業率は82.1%です。この体制構築でドクターも診療に専念でき、患者さんも薬剤師からの丁寧な服薬指導が受けられるようになってきています。
情報伝達が不十分だという課題も
その一方で院外処方になりますと、クリニックと調剤薬局の間で、患者さんに関する情報(処方内容や副作用情報など)がリアルタイムで共有されにくいという課題もあるようです。
例えば、「以前に他の医療機関で処方された『アレルギー反応を起こした薬』があったにもかかわらず、その情報が共有されておらず、同系統の薬が再び処方されてしまった。調剤薬局もその副作用履歴をリアルタイムで確認できず、結果的に再発リスクが生じた。」というような事態が想定されます。
薬局のチェック機能により医療サービスの品質と安全性の向上が期待されつつも、相互の疎通はまだ十分とは言えません。こうしたところは、開業をお考えのドクターも業務の中で感じられる部分があるのではないでしょうか。
また患者さんにとっても利便性の点で、「クリニック→薬局」の移動が億劫に感じられることもあるかと思います。

推進される医療DX
『医療DX推進体制整備加算』が2024年度の報酬改定で新設されました。医療DXの普及はこうした課題を解決し、より適切で効率的な医療提供の実現が期待されています。
今や様々な業界でDXが推進されていますが、医療分野では特に必要となるでしょう。この体制がなぜ、何のために推進されるのかを理解しておくことは、これから開業しスムーズに医業を運営していくうえで非常に重要です。
改めて医療DXとは、
「医療分野においてデジタル技術を活用して、患者さんの利便性向上と、医療従事者の業務効率を図る」取り組みです。
DXでますます効率的になる
例えば2023年に始まった電子処方箋は、政府が進める医療DX政策の一つです。ドクターが処方箋をシステムに登録すると、薬剤師はそのデータを参照して調剤を行えるというもの。これによりドクターと薬剤師間の連携が円滑になり、患者さんの過去の薬剤情報も参照可能になります。
連携によって、重複投薬や併用禁忌のチェックが自動化され、処方箋の紛失リスクも軽減することができるようになりました。
そして「患者さんの利便性向上」も目的とされる取り組みですから、
・オンライン資格確認によるスムーズな受付
・薬局での待ち時間の短縮
・オンライン診療で通院の負担軽減
といった患者さん目線でのメリットも生まれます。
患者さんからは「せっかくスムーズに診療と会計を終えたのに、薬局で待たされてしまった。」という声もしばしばあり、開業後すぐの評判にもつながりかねません。
ぜひ開業準備の一環として、可能な限り、薬局側とも電子処方箋などのDXに関する事前の状況確認を行いましょう。
デジタル化を活かした連携へ
厚生労働省による【「医療機関・薬局間の情報」の共有・標準化等について】にあるように、医療DXの普及によって情報共有の体制が少しずつ整ってきていますが、双方の情報伝達のタイミングは限られています。
電子的な共有は医療業務一連の手間を軽減しましたし、情報活用をしやすくもなりました。そこから大切になるのは、医療機関と調剤薬局が、同じ情報基盤をもとにしてコミュニケーションをとっていくことです。特に開業時、いかに双方が聞きたいこと知りたいことを円滑に確認しあえるか。医薬分業といえどコミュニケーションの壁をなくすには、やはりスタートが大切になります。
将来的には、地域包括ケアが意識されたチーム医療づくりが進み、薬剤師の服薬管理から医療方針が検討される機会も増えるかもしれません。
カギとなるのは?「連携と共創」
医療DXの展望として、形式的な分業から、医薬が共に考え質の高い医療を提供する「連携と共創」のモデルが見えてきました。
〈医薬連携モデル〉
情報共有:電子処方箋導入⇒検査結果・服薬・副作用まで統合共有
患者対応:ワンストップ・オンライン連携
薬局の役割:健康管理・予防支援・フォロー中心
関係性:実質的な協働・チーム医療化
医療分野でのDXで求められるのは、「医療資源を効率的に利用しながら、質の高い医療を提供」すること、そして「国民の更なる健康増進」です。
院内ツールやクリニックとしての方針を自由に設計できる開業だからこそ、目的を理解しつつDX化を図っていきましょう。
そして、非常に便利なデジタルツールは最大限活かしつつ、医薬に「対等なパートナーとして支え合う」関係性があることが重要となります。

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